「おなか、すいたんだの」
「っ・・わかってる、分かってるから家に帰ってからでも」
「その前に誰か襲っちゃう」
「っ・・」
「だってちゃんと事件に協力したわ」

シャーロックのシャツのボタンを丁寧に外す。
正直言ってすぐに噛みつきたいのだけれど、
少しだけ脅えるような表情を浮かべる彼もやっぱり可愛くて

「怖いの?」
「怖くない」
「痛くしないよ」
「早くしろ」

首筋から肩にかけて不健康で真っ白な肌が目に入った。
顔を寄せて、軽くキスする。
びくり、と大きな体がはねる。
まるで注射を待つ子どものようだ。
舌でなめて、キスして、噛みつく

「っ・・・・」

腰に回っていた手に力が入った。
牙が刺さって、血液が溢れだす。
吸いつくと、口内に香りが充満する。

っ・・・」

悩ましげな声で私の名前を呼ばないでシャーロック。
殺してしまいたくなるから

、やめろ。もう充分だろうっ・・・」

肩を叩かれて名残惜しいけれど、牙を抜く。
二つの小さな穴からはまだ血が溢れている。
もう一度ちゅぅと吸いつけば、穴から血は出て来なくなった

「ふぁっ・・・」
、」

くた、と身体に力が入らなくなった。
おいしかった、とっても

「僕は、まだ事件を解決してない」
「わかってるー」
「だからどいてくれないか」
「うん・・なんだか疲れちゃった」
「それはこっちの台詞だ」
「ごめんねー」

シャーロックは軽々と私を抱き上げると部屋から出た。
一斉に注目を浴びてしまったけど至福の瞬間の後だったから
私は上機嫌。

「大丈夫か!?急にドアが閉まって、開かなくなって・・」
「立てつけが悪いんだろう、それよりが貧血を起した。」
「そんなことないよ」
「何処か座れる場所はあるか」
「あ、ああ・・・そこに・・・」

グレッグが引き気味に指差すソファに私は降ろされた。
シャーロックの腕をつかむと彼が睨む
【ここで大人しく座っていろ】

「わかったー」

ふふふ、と笑みがこぼれてしまう。
おいしいものを食べた後ってとってもとっても幸せになる。
女の子だったら皆そうよね。

「大丈夫?」
「え、ええ。大丈夫よ。軽い貧血だから」

アンダーソンが近づいてきて私に問いかけた。
ふわりと笑いかけると彼は一瞬だけ顔を赤くして勢いよく私から目線をそらす。

「アンダーソン!!!!!!」

その様子を見てたのか(こちらに背中を向けていたのに)シャーロックの怒号が部屋中に響き渡る。
アンダーソンはため息をついて遺体のそばへ。
今日はジョンがいないから仕方く彼が検死をする。

ぎろり、と私を睨むシャーロック。だって仕方ないわ。幸せなんだもの。
私の彼は、タルトよりもティラミスよりも甘い、甘い素敵なデザート!