シャーロックの様子が変だ。

「はい、ジョン。コーヒー、ブラックで良かったよね?」
「ああ、うん。ありがとう・・・あの、 、」
「ん?何?」
「それ、歩きにくくないの?」
「歩きにくくない!」
「僕はに聞いてるんだ。黙ってろよ。てか離れろよ。」
「歩きにくいね。とっても。」

数日前にからシャーロックとの関係について相談を受けた。
そのあとからだ。シャーロックがやけにソワソワしたり、必要以上にに触れたり
人との接触をできるだけ最小限に抑えたい彼が、だ。
それも僕の前で堂々と。あれなのかな。独占欲を表してるのかな。
「これは僕の!」と病院の待合室で喧嘩する兄弟を思い出して笑ってしまった。
まぁ、精神年齢12歳の男の子がやっと恋愛感情に目覚めたってことでいいんだけど
あのシャーロックが、にくっついて離れないと言う風景は
いささか僕の精神に悪影響を与えているようだ。
がっちりの腰をホールドしたまま、の後ろをついて行く。
は小柄なほうだから、移動するのもすごく大変そうだ。

「ちょっと、座りたい、離れて。」
「・・・・・・」

がマグカップを二つ持ってキッチンから返ってきた。
ソファに座ろうにも彼が背中にへばりついているからどうにもならない。
シャーロックはしばらく固まった後、ソファに座った。

「うあっ!こぼれる!」
「こぼすな!」
「じゃあ引っ張らないでよ!」

できたらよそでやってほしいなぁ・・お二人さん。
シャーロックは彼女の腰をつかんだままソファに座る。
は仕方なしにシャーロックの膝の上へ横向きに座った。
一人がけようの黒いソファに猫2匹ってところだろう。

「ジョン、なぜ笑ってる。」
「笑ってないよ。」
「笑ってる。やめろ、気持ち悪い。」
「君の方が気持ち悪い。」
「そんなことない!」
「そんなことあるある。」

最後の一言は彼の膝の上に座ってる猫が
マグカップを啜りながら呟いた。
何にせよ、シャーロックよりもなによりも
彼女があまりにも幸せそうに笑うもんだから
何だっていいと思う。
< でも、ここまでいちゃつくのに、まだ手を出してないシャーロックは、
本当に大丈夫なんだろうか。

「ジョンはその辺り男らしいよね。」
「・・え!?声に出てた!?」
「・・・・・んー、何がー?」

意味深に笑う彼女に心臓が飛び出るくらい驚いたのはいうまでもない。