あの後、ご飯を食べて、DVDを探しに行って、
色々眺めた末、最近、話題になっているホラーを借りてきました。
私は床に直接座ってソファを背もたれに。
ジムはそのソファに座って片手で携帯を触りながら流し見。
ホームビデオ風の映像は、作られてない感じがとっても怖いです。
「ねー、?」
「はい・・なんですか・・。」
こて、とジムの膝に頭を乗せるとゆっくりと髪をすいてきました。
うーん。怖い、眠い。ちょっとだけ、気持ちいい。
ヒロインの女性が叫んでいます
「シャーロック・ホームズの彼女知ってるー?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・知ってます。」
「え、なに。なんでそんな顔するの!?」
どんな顔をしているのか、自分では分かりませんが。
シャーロック・ホームズの彼女さんは、出来たらもう会いたくない人物NO1です。
「いえ。出来たらもう会いたくないので。会いに行かれるなら一人で行ってくださいね。」
「どうしてー?」
聞き逃した台詞を聞くためにコントローラーを握りながら
コマ送りで画面を戻す。ついでにジムの質問にも答えて置きましょう。
「CIAの諜報員してたんですよ。そして、今はMI6直轄の心理研究所で働いてます。」
「うん。すごいね。映画の中の人みたい」
「CIAに所属しているときに、一度逮捕されかけました。」
私の黒歴史を聞いて、何になるんでしょうか・・・というかこれはシャーロック・ホームズが
愛してらっしゃる人の話しであって、私の汚点をばらす話しじゃなかったはず。
・・・あ、このあたりから見てない。
「・・・・って人前に一度も出たことのない情報屋だよね?」
「ええ。」
「なのに逮捕されかけたの?」
「はい。」
「顔も、名前も分からないのに?」
「ええ。でもジムは見つけたじゃないですか。」
「まぁ。噂話とかを辿ってね。」
「彼女も同じことを。」
物語は終盤。
悪魔に取りつかれたヒロインを彼は助けることができるのでしょうか。
というか、結構怖いです。お風呂とか一人で入るのちょっと嫌です。
「・・・・・・・つまり、犯罪者の情報屋と仲いいってこと?」
「正確にいえば、「中立」の情報屋や偽造屋と仲がいいと言うことです。
敵も多ければ、こちら側の味方・・いいえファンも多いんですよ。」
「すごいねぇ。」
「ですね。」
「で。君は逮捕されかけた。」
ジムは相変わらず私の頭を撫でながら
画面と携帯を交互に見て、さらに私に質問すると言う
なんだか、ずぼらと言えばずぼな状態で話を続けています。
が、彼の事です。映画の内容も携帯でなにをしているか分かりませんが、それも、
私の話も完璧に頭に入れているのでしょう。
「・・・・・国外逃亡を図ったんです。」
「まぁ。誰だってそうするよね。僕だってそうする」
「不法ですが、飛んでくれるパイロットに乗せてもらって、飛行機に乗って、飛んだんです。」
「いやな、予感してきたんだけど」
「乗った、飛行機に、彼女は、携帯型のランチャーを設置、続けて砲弾しました。」
「・・・・・・・・」
「しかも、動いている車から、元海軍所属の部下を引き連れて。」
「・・・・・・・・・・・・・」
流石に、ジムが少し黙りこみました。
彼女は、意外と派手なパフォーマンスが好きらしく、
国民の税金を使って、簡易ランチャーを担いで来て、
私に精神攻撃と物理攻撃を同時に行ったのです。
最悪です。
「あんなに怖い思いをしたのは久しかったです。」
「そ、そっか。うん。覚えておくね。」
「ええ。ですから、もう会いたくないです。」
「向こうはのこと知ってるの?」
「いえ。顔は見られてません。でもきっと彼女は私と会ったらすぐに分かるでしょうね。」
「なんで?」
これだけは、はっきり言える。彼女は、敵に回したくない。
ジムが言ってた、氷の男も、シャーロック・ホームズも、敵に回ると相当めんどくさそうですが
彼女は、彼らよりも、そしてジムよりも、いい意味で頭が悪いのです。
我々が考えている間に、銃を握り、我々が裏をかくあいだに、爆弾を放り投げます。
「恐ろしく第六感が働く女性だからです。」
ジムの顔を見上げると、ちょっと引いた感じで笑ってました。
後ろの画面から、ヒロインの甲高い叫び声。
「・・・・こわぁい」
映画がですか?彼女がですか?