「・・・・・今日は暇だねー」
「そうですね。」
「買い物もないし、どうしようか。」
「そうですねー・・あ、わた「僕はこのままとベッドの中にいたいんだけどね。」

時刻は朝の10時。いつもより遅い起床です。
今日はお互い特に仕事もなく、昨日のコトもありまして
目が覚めるの遅くなりました。どうせジムは一度起きてるんでしょうけど。
私の背中側にジムが居るために顔が全く見えませんが
ぎゅー、とシーツの中で密着されて、意外と高い体温が伝わります。
私の意見なんか、全く聞く気がないのか中途半端なところで、話を切られてしまいました。

「最後まで言わせて下さいよ、私は映画が見たいのでDVD借りてきます。」

「えー・・・」

不満そうな声と裏腹に彼はするり、と手を足の間へ。
私は彼の頬へと手を伸ばしてゆっくりとつかみました。すると掌は抜かれて降参のポーズ。
シーツを上手く駆使して肌を隠しながら、ジムに向き合います。
朝からなんでこんなことを言わなければならないんでしょう。

「もう付き合ってられないです!腰痛い!」
「いっつも、ストップかけるじゃん!満足してないの!」
「いっつも女性の方を落とすのに頑張ってらっしゃるでしょう?満足してるはずですが。」
「・・・・・、目、笑ってないよ?」
「気のせいじゃないですか?」

相手の方の香水の香りは気に入りません。
というか、私の立ち位置がもう一つ分かってないんです。
好き、って言われますし、愛してると言われます。
私は人間なのでその言葉と彼の体温とキスが好きで幸せになりますが
この男を信用していいのか、もうひとつ踏み込めないのです。

「嫉妬―!?かわいいー」

ですが、このことを話してもきっと彼は本当の事を言わないでしょうし、
もしかしたら、本当の事を言っているのかもしれませんし
何にせよ、私は、今の状況をそれなりに気に入っているので、壊すのは少し惜しいのです。

「・・・・・はぁ。」
「聞いてる!?ちゃん!」
「シャワー浴びてきます。」
「これを着て行くといいよ。」
「・・・・・悪趣味なTシャツですね・・・」
「別にメーカーはどこでもいいだろ。ドクロがきゅーとでしょ!」
「微妙。」
「酷い。」

確かに、全裸でここからバスルームへ行くのは色々と人間としてやってはいけませんし
シーツを借りようにも一枚しかないので、借りるわけにもいきませんし
(ジムをこれ以上の変態にしてはいけません)
昨日ジムが来ていたTシャツに腕を通しました。
少し、少しだけ彼の香りがするような気がして恥ずかしくなりました。

「・・・・・・かわい。」

ちゅ、と軽いリップ音をわざと鳴らしてキスされました。
こう言ったときの顔は本当に、幸せそうな、顔を、してるように、見えるんですが
わからない、んです。

「・・・・・・どうしたの?」
「・・ジム、」
「はぁい。」
「貴方、幸せそうな顔してますね。」
「うん。幸せだもん。」

お返しに頬にキスして、ベッドから降ります。
ずきん、と鋭い痛みが腰に走りましたが、気にしないことにします。
あと、後ろから聞こえたシャッター音も気付かなかったことにします。
ただし、待ち受けにしてたら殺す。