「だからと言って、一緒に寝るなんて聞いてない!!」
「しゃ、ろくいや!」
「だって・・・起きてきちゃったんだもの・・・」

シャーロックと一緒にベッドに入って
ティーンみたいにくすくす小声で笑いながら喋って
どちらが先に眠ったか分からないくらい幸せな時間を過ごして
数時間後、ゆさゆさと私を揺らす何かに
落ちていた意識は呼び起こされ
起きあがると小さな息子が涙をためて立っていた。
まぁ、要は怖い夢を見たと言う奴でよくあることだ。
ヘイミッシュを抱き上げてベッドに入れたところで、シャーロックが起きちゃって
こんなことになっている。

「一人で寝かすの可愛そうじゃない?
知らないところでの、初めての夜で緊張してるのよ。
今日ぐらい、いいでしょ」
「いやだ!」
「しゃろくきらい!!!」
「そんなこと言わないで、ヘイミッシュ」
「一人で寝れるだろう!」
「もう。じゃあいいわよ、私が二階で寝るわ」
「まま・・」
「はいはい。ままと二階で寝ようね。」
「うん」
「そ、んなのないだろう!せっかく、帰ってきたのに!」
「だって、シャーロック、三人で寝るの嫌なんでしょ?」
「・・・・」
「せっかく、Sirが馬鹿みたいに大きなベッド送ってくれたんだから・・ね?駄目?」

221bはどこも変わっていなかった。ジョンの部屋も(ジョンが持って行った荷物以外)
私の部屋も(掃除されてシーツも変えて)勿論、共同スペースも。
置いてあった雑誌の山も、実験道具も、全てそのまま。
ただし、シャーロックの部屋だけ、異変が起きていた。
前のベッドもそれなりに大きなものだった。シャーロックと私が身を寄せれば十分、眠れるサイズ。
帰ってきたら、シャーロックの私室ギリギリのベッドにそれが変わっていた。
Sir曰く「結婚記念だ」とのこと。

「・・・・・・・・・・君が真ん中なら」
「いいけど。ヘイミッシュ、パパとママと一緒に寝てくれる?」
「・・・・・・・・」
「だめ?」
「・・・・・いいよ・・」
「いい子だね、ままヘイミッシュだいすき」
「へいみっしゅも、まますき!」
「・・・ !」
「はい、はい。なぁに」
「・・・・」
「・・・・・?」

眉間に皺を寄せたまま、襟を掴まれて引き寄せられた。
寄せられた唇は初めてキスした時みたいに、緊張した。

「・・ん、」

間に挟まれたヘイミッシュが少し動いたけれど、
私には子供が二人もいるもんだから、
ごめんね、なんて心の中で呟いてそっとヘイミッシュの瞼を手で覆い隠す

「・・・シャーロック、」
「・・・・ぼくだって」
「・・・いいよ、ね、言わないで。」

ちゅ、ともう一度唇を合わせて、そっと離れる。
ヘイミッシュをベッドの端に寝かせた

「まま」
「なぁに」
「・・・・・・まま」

後ろでそわそわするシャーロックに気付かないふりをして、
ヘイミッシュをゆっくり撫でる。
そもそも眠っていたので、ヘイミッシュの瞼は、簡単に落ちていく

「・・・・寝たのか?」
「寝たよ」

私の右肩の辺りから不思議そうにのぞきこむシャーロック。
ぐい、と腰を引き寄せられて、背中から彼の腕の中へ。
付け加えられたように、ちゅ、と首筋の辺りでリップ音

「大きな子供がここにももう一人」
「誰の事だ。」
「誰の事かしら。」
「小さいな、」
「小さいね」

大きな手が、ヘイミッシュの頭を撫でる。
シャーロックの体温が、伝わって、私も、瞼が重くなってきた

「だいすきよ、シャーロック」
「・・・・・僕も、愛してる」
「・・・ぎこちない」
「笑うな!」

今日は、久しぶりにいい夢が見られそうだ。
これからも。ずっと