「シャーロック」
「・・・・寝たのか?」
「うん」
「・・・・・・なんで、泣いてた?また僕が泣かせたのか?」
「泣いてないよ」
「泣いていた、と言った。さっきまで。」

シャーロックの血の通った、温かい大きな掌が
私の頬に添えられた

「物事っていうのは、あっという間に過ぎるのね。沢山考えて、悩んで、でも起こってしまうと、あっという間なのね」
「・・・そうだな。君は、何か悩んでいるのか?」
「分かんない。でも今は、ヘイミッシュがいて、貴方がいて、ジョンがいて、私がいることの方が、嬉しい」
「そうか。僕だって、」
「・・・・・そう?」
「ああ。」

ゆっくり引き寄せられて、
彼の胸に耳を押し付ける。とくん、とくん、生きてる証拠が声をあげた。
きゅ、と腕を回すと、背中に添えられた腕に伝わったように、力がこもった。

「ヘイミッシュと、仲良くしてね」
「・・・・・・・多分」
「多分じゃ駄目よ。だってシャーロックお父さんよ」
「分かってる。でも、君は譲れない」
「・・・譲る?」
「君は、再会してから、ずっとヘイミッシュばかり気にかけてる」
「そりゃ・・・・・・・・・って・・・貴方、自分の息子に嫉妬してるの?」

ばっと顔をあげるとさらに強く引き寄せられて彼の膝の上へ。
見上げてくる顔は、いたって真面目な顔だった。

「何が悪い。だってそうだろう」
「・・・そうだけど・・・そうだけどさ・・っ・・むす、息子に嫉妬って・・・あは、」

あはは、と笑ってしまうともう止まらなくて
止めようとしても、声はおさまらない。
彼はぶつぶつと文句を言った。

「でも、君の息子だ。きっと大丈夫だ」
「そうね。貴方の息子だもの。きっと大丈夫・・・・っ!!なに!!ちょっとー!」

今のは、キスするところだったんじゃないの!?
ぐわっと抱きあげられて足をばたつかせた。
不安定な体制で、彼のローブにしがみつく

「寝る。」
「・・・って言ってくれたらよかったのに!」

ぼすん、とベッドに押しつけられて二人してくすくす笑う。
全部全部、久しぶり。
私の世界が、鮮やかに、色づいた!