「んー!ただいま!」

2年とちょとぶりに、221bへ帰ってきた。
ジョンと、シャーロックと私。そして、今日から新しくもう一人。
私の右腕に抱き締められた、小さな小さな男の子

「・・・・まま・・?」

私の顔を見ながら不安そうにするヘイミッシュ。
蒼い瞳が不安そうに私に声をかける。降ろしてみると、私の足を握ったまま周りを見渡している

「マイクロフトがこのまま維持してたんだってさ」
「ふーん・・・てか、私出て行った後、ジョンしばらくここに住んでたの?」
「まぁ・・しばらくね。そのあとは自分の荷物だけ持って別のフラットに住んでたんだけど」
「そうなんだ。ヘイミッシュ、部屋見てきていいよ?」
「・・・・・・ここにすむの?」

小さな小さな男の子は私の顔を見上げてこれまた不安そうに聞いた。
目線を合わせて、小さな手を握る
シャーロックは、定位置について、マインドパレスか、それとも観察しているのか。

「そうよ、今日からここに住むの」
「へいみっしゅは?」
「ヘイミッシュはママと、パパと、それからジョンと、ここに住むの」
「ここ、へいみっしゅの、おうち?」
「うん。ヘイミッシュのお部屋は二階だよ。見に行こうか。」
「・・・・うん。」
「いやなの?」
「ううん。」

ここに住むのが不安というより、急に増えた家族の方に対して不安なんだろう。
予想通りと言えば、予想通りなんだけど、ジョンの方に懐いてしまった。
シャーロックは、相変わらず敵対、とまではいかないものの、心を許すレベルではないらしく
近づかない、喋らない、警戒するのオンパレード。
すぐになれるとは思ってなかったので、このあたりは時間が解決してくれるだろう。

「じょん・・・・」
「ん?」
「いっしょに、みにいこ」
「いいよ!喜んで」

そしてジョンは初孫が出来たおじいちゃん化してしまった。
とん、とん、といつもより遅い足音が、二階に上がった頃に、やっとシャーロックは口を開いた

「小さいな」
「まだ子供だもん」
「・・・・そうか」
「シャーロックの子だよ、」
「・・・・そうか。」

なんだか、ちょっとだけ、表情が和らいだ気がして、
私も、そんな表情につられて笑う

「何笑ってるんだ」
「ううん、なんでもないよ」

私は最愛の人を失って
今は家族を手に入れた。