「えっと・・僕も出て行こうか?」
「・・あ・・や、ここにいて」
「・・まぁ。うん。分かった」

と言ったものの、僕がここにいて出来ることはなさそうだ。
シャーロックがなんとなく、に近づこうとした時だ

「こっち、こないで!!!」

ヘイミッシュが声を荒げた。
三歳って(2歳半)ってこんなに喋れるんだな。
にしがみついたまま、シャーロックを睨んでいる

「ヘイミッシュ?なんでそんなこと言うの?」
「や!!」

ヘイミッシュはまたに顔を押し付けた。
子供なりに、なにか伝えようとしているようだ。
シャーロックは立ち止って、距離を保ったまま、口を開いた。

「・・・・・どういうことだ。」
「・・・シャーロックが死んでから、ちょっとして、妊娠が発覚したんだけどね・・・
その時、私誰も信じれなくて、誰が嘘をついているか、分からなくて。
実家に帰って、一人で、う、んだの。」

は、唇をかみしめながら、ゆっくりと吐き出すように呟いた

「シャーロックが、死んだって思ってなかったから。
でも、本当に死んでたら、この子は貴方の、忘れ形見だから。
誰にも、そうだ、ん、相談できなくて、でも、でも」

どんどん、涙があふれて行って、声が詰まっていく
ヘイミッシュはそんなを見上げて心配そうだ。

「・・・・悪かった。」
「・・・・・」
「一人でさせることじゃなかった。」
「・・・・・・・しゃぁ、ろっく」

とうとう涙があふれ出した。
ぱたり、ぱたりと涙がこぼれる。
思わず駆け寄ろうとしたシャーロックを小さな騎士がまた止めた

「こないで!!!!」
「へい、みっしゅ?」
「こないで!しゃ、ろくこないで!!!」
「ヘイミッシュ、」
「しゃろく、ままなかすから!こないで!!!!」
「・・・・・・・・・・・・・悪い。」

ヘイミッシュの言葉に、真面目に答えるシャーロックもシャーロックだが、
そんな彼を見て、本当に、元に戻ったんだな、なんて思ってしまった。

「昨日、実家の人にここまで連れてきてもらってハドソンさんに迎えに行ってもらったの」
「・・・・言ってくれれば、僕がいった。」
「・・・・・・・・・・・・・・あの、あのね、ヘイミッシュのパパになってくれる?」
「・・・・君は僕の妻になってくれるのか?それに、この子は僕の子だろう」
「・・・・・・・・・・・っ・・う、うん」

の涙はさらに溢れだす。
あーあ。僕こんなところにいる場合じゃないんじゃないかな。
ハドソンさんと一緒に買い物行けばよかった
シャーロックはベッドの端に腰かけた。ヘイミッシュがそれを睨む
噛みつきそうな瞳で睨む息子をシャーロックが恐る恐る手を伸ばして頭を撫でた
・・・・・・シャーロックが笑ったように見えた。
僕も後ろから彼を見つめる。

「初めまして、ヘイミッシュ・・・僕は・・ジョンだ、うん、いや、僕もヘイミッシュなんだけど」
「・・・・・・」
「ママの友達だよ。」
「・・・・・ほんと?」
「うん」

僕の顔との顔を見比べて、がほんとよ、と付け足すと僕に対する警戒は少し解かれたらしい。
でもシャーロックに頭を撫でられているから、本当に警戒を解いた訳じゃなさそうだけど。

「君の息子だ」
「ああ。」

僕が言うと、シャーロックは、小さく答えた。
どんな気持ちなんだろうか。
何も言わない。ただ、ヘイミッシュの頭を撫でている。

「でもさ、シャーロックの遺伝子受け継ぎ過ぎだ」
「そうよねー。髪の毛癖毛だし」
「瞳も青い。」
「しかし、僕はまだしも、よくマイクロフトに隠し通したね
「・・・・諜報員だもの。」
「・・すごいなぁ」

がくすりと笑った。
ああ、よかった。これで、全部、元に戻ったんだ。
・・・いや、元に戻ったんじゃない。221bのファミリーに小さな男の子が加わった。
勇気ある、2歳半の男の子。
僕らの会話を聞きながら、シャーロックは無言で、小さな男の子を撫で続けていた。
彼が何を思っているか、なんて、これまでもこれからも分からないけれど
友人として、幸せを感じていてくれるといいな、なんて思う。
いや、きっと、幸せなはずだ。