目が覚めたシャーリーと、と、僕で固まった。
そもそもどうやって育てたらいいんだよ・・・
何を食べるんだ・・?

「起きたね、」
「うん・・」

がそっと指で首の下あたり?をぐりぐり撫でると
警戒しつつも、気持ち良さそうに目をつぶった。

「何食べるのかな・・とりあえず、水と、」

と彼女が立ちあがって、キッチンへ歩いて行く間に
僕も拾ってきた人としては、仲良くなっておかないと、と思い、指を差し出してみる。
シャーリーはじっとそれを見つめた後、

「痛っ!!!!」

かじった。

「えー?どしたの?」

僕は、手を振り回したけれど

シャーリーは僕の指をかじったまま、空中を振り回されている。

「お腹すいてるのかなぁ?」
「それより!早くどけてくれよ!!!」
「あ、はいはい。」

はシャーリーの体を両手でつかんで、口から僕の指をひきぬいた。
指先にはしっかりと牙の跡。
と、思うと

「うわっ!」

ゴッと音がして、小さな炎がシャーリーの口から吐き出された。
炎は空中を数秒さまよって霧散した。
やっぱりドラゴンなんだよなぁ・・・

「警戒、してるのかな。」
「どうだろうね。」
「シャーリー?嫌いでもなんでも、君が行くところはもうどこにもないし、
この寒空の下、公園で暮らすわけにも行かないんだよ?だから、ジョンの指はかじっちゃいけません。」

は真剣な顔をしてシャーリーに言い聞かせるように言った。
そもそも人間の言葉が分かるとは思えないが、
シャーリーは黙ってその言葉を聞いた後、ふわりと飛んで、
さっきの一人掛けのソファの上に座った。
は一度、彼を持ち上げて(なんとなく男のような気がする)
机の上に乗せると、ユニオンジャックのクッションをひいて、
その上にまた乗せた。
シャーリーはくるくるとその上を見渡した後、そっと腰を落ちつけた。

「とりあえず、水と・・・・何食べるのかな・・・・」

シャーリー、とが呼ぶと小さな青いドラゴンは空を飛んで、 のそばにとまった。
には、なついたようだ。
キッチンの上にはハム・チーズ・ミルク・カップケーキ・スコーンが並べられている。
ちなみに、我がやの冷蔵庫に今、あるものはこれしかないのだ。
まずいな・・・明日、買い物行かないくちゃ。
シャーリーは興味深げに周りを飛んでいたが、ハムの上で止まった、かと思えば

カップケーキに突っ込んだ。

「・・・・・甘いものが好きみたいだね!」
「とことん、想像からかけ離れるよ・・・・」
「いいじゃん。好物:人間、とかリアルなことにならなくて」
「僕は指持って行かれそうになったけどね。」

ミルクも少しばかり飲んでいた。

「水よりミルクか。」
「そのうち紅茶とかコーヒーとか飲みそう。」
「しかし、未知数な生き物だよなぁ」
「まぁ。想像上の生き物だからね。」

その予想は次の日の朝食で証明された。
予想は的中。が面白がって用意した紅茶を当たり前の顔をして飲んでいた。
カップケーキと紅茶が好きなんて、イギリス人見たいなドラゴンだな