「・・・・・・で、これ何・・?」
「いや・・僕にもよくわからないんだ…けど・・弱ってたし・・」
が帰って来て早々、一人掛けのソファにうずくまる生き物を指差して言った。
彼女は政府関係で仕事をしていて、帰ってくる日もあれば、帰って来ない日も合って。
予定なんかころころ変わるから、そもそもアテにはできない。
今日は帰ってきてくれてホントに良かった。
とりあえずこの生き物を拾ってきた経緯を話した。
彼女は渋い顔でそれを聞いていた。
誰だって、子供の頃にこんな顔をする親を説得したことあるんじゃないだろうか。
彼女はわりと動物が好きらしいから(よく猫の動画を見ている)
こんな顔をされるとは思ってなかった。
「いや、お互い仕事あるから・・・育てられるのかなって・・・それに私、爬虫類苦手なんだよね・・」
「そうなの?」
「いや。目とか可愛いと思うんだけど。もふもふした生き物が好き、って言った方がいいかな。」
「ああ。うん・・てかコレ爬虫類なのかなぁ・・・翼あるし、飛べるみたいだよ。」
「あのさぁ・・・こんな生き物を映画の中で見たことない?」
「・・・・うん・・その話しになると思ってたんだけど・・・森の番人が隠れて育てるシーンがあったよね。」
「後、魔法学校の大会の中で、試験内容にこれと戦うのとかね」
彼女は、ソファにうずくまってる生き物の、頭を人差し指で撫でながら
ちょっと考えているみたいだった。
「・・・・・・うん、分かったよ。元の所に返してくるよ。」
「・・・いや・・あの・・ジョン?」
「同居人に断りもなく、連れて帰って来たの僕だし。」
「・・・う、」
「きっと君なら快く承諾してくれると思ったんだけど」
「・・・・うう」
「いや。を責めてるわけじゃないよ?君の言い分は間違ってない」
「・・・・・・あの・・そんな・・・せ、せめて・・元気になるまで・・くらいなら・・置いといてもいいんじゃない・・かなー?」
「そんなことしたら情が移って、返せなくなるだろ?無責任なことはできないよ。」
勿論、彼女が頷くまでそうそう時間はかからなかった。
ちょっと卑怯な手ではあったかもしれないけど、僕は強制的なことはなにもしてない。
頷いたのは彼女だ。それも快く。
「・・・・・・やっぱドラゴンなのかなぁ・・・」
「・・・僕ら夢見てる?」
「見てない・・この仕事の疲れは夢じゃない・・・」
「あんまり大きくなると困るよね。」
「とりあえず、名前決めて、様子見よう・・・・大きくなったら隠す隠さない以前に軍隊が出てくるよ。」
「・・・・名前なぁ・・・あ、なんか首についてる。」
さっきまでは気付かなかったけれど、首に小さなチェーンでSというアルファベットのキーホルダーが付いていた。
「S?飼い主(?)がつけたのかなぁ?」
「・・・・・シャーリー・・・」
「え?」
「い、いや、なんとなく。」
「まぁ。ジョンが拾ってきたんだし、ジョンが名付け親でいいんじゃない?シャーリー?いいと思うよ。」
こうして、青いドラゴンと僕ととの謎の共同生活が始まった。