ある時、ある星が消滅する場に、エンタープライズ号が立ちあう事がありました。
幸いにも、その星には生物はおらず、調査でわかったことでしたが、人が住むには適していませんでした。
しかし、爆発とともに消えて行く星が、故郷を失った時の映像と重なり
私の中に、悲しみと後悔が、現れました。
だからと言って、どうなのでしょうか。後悔したところで、何も変わりません。
ブリッジから離れようとターボリフトに乗ったところを小走りで 大尉が近づいてきて、入り込みました。

「・・・・」
「・・・・・・・・・・・辛い、ですね。」
「・・・・・なにがですか」
「思いだされるでしょう」
「・・・・故郷を?」
「ええ。その時私はアカデミーに居ましたが、知っています」
「悲しんだところで、故郷は戻りませんし、母上も、戻ってきません。今考えるべきは残された
ヴァルカン人が言葉通り、長寿と繁栄を続けることです」
「はい、そうです。その通りですが、」

大尉の声が震え始めたのに気付き、彼女を見た時には、
すでに大きな瞳から涙が流れていました。

「その通りですが、悲しいことです。」

彼女はまっすぐ前を見たまま、私の手を握っていました。
振動が止まり、機関室へのフロアで彼女は降りて行きました。
・・・・涙をぬぐって、降りて行きました。
彼女は、他人のために涙を流すようです。