さん、おはようございます」
さん、お昼一緒に食べましょう。」
さん、また7が武器を壊しました。」
さん、僕少し眠くなってきました。」
さん、今夜、暇ですか?」
さん、大好きです。」
さん、キスしていいですか。」
< 「さん。一緒に帰りましょうよ・・・」

私の周りをわんわん、わんわんとひっついて回る眼鏡で天パの男の子。
只今、絶賛恋愛中の私の彼氏である。
朝、おはようございますから
夜、さようなら(場合によっては延長戦あり)まで
ひと時も離れない困った年下の男の子
この容姿で(けして爽やかとは言えない)この性格の男の子(わんこちゃん)が
指先でキーボードをタッチするだけで戦争を起せる男の子とは思えない。

「Q,残念だけど、残業なのよ?」
「いやです!!!帰りたい!」
「・・・じゃあ、帰る?今日の分、私がしといてあげるわ。貴方も疲れてるだろうし。」
「いえ!!さんと!帰りたいんです!!!」
「それは無理ね。」
「だって僕ら付き合い出して、2週間たったのに、一回もデートしてないんですよ!」
「付き合いだして2週間しかたってない上に、デートしてない女性を家に連れ込もうとするのはどうなのかしら。」
「男はこういうことしか考えてないです。」
「さて。書類書こうか!」
「いやです・・・・・・・」
「駄目です。そんな子犬みたいな顔しても駄目。はい。書類。はい、ボールペン」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・眠い。」
「私も。」
「寝ないように喋ってないと。」
「そうね。何しゃべる?」
「恋人みたいな会話がしたいです。」
「んー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・思いつかない。Qは?思いついた?」
「・・・・・・・」
「よし。じゃあQの家族の話しよう。お兄さんがいるんだっけ?」
「ええ。上に二人。」
「へぇ。」
「一番上の兄には婚約者がいます。小さいころからの。」
「すごい。流石、名家の出身」
「小さい頃から婚約者として育てられてきてますしそういう関係だったために、
すでに熟年夫婦みたいな空気になってます。救いは彼女の方が自由奔放で兄と間逆の性格ってことですかね。」
「・・・へぇじゃあ・・・すぐ上のお兄さんは?」
「・・・・ああ。シャーロックですか。彼は最近まで童貞でした。」
「げほっ・・・え・・あ。・・そ、そうなんだ」
「どうしたんですか。」
「いや、会ったことのない恋人の兄のそういう話を聞くと思ってなかった。」
「一生、童貞だと思ってたんですが」
「う、うん。」
「捨てる神あれば拾う神ありですね。大学時代の友人の方と落ちつきました。」
「そっか。そのすぐ上のお兄さんって何歳なの?」
さんと同じくらいです。」

書類は次々とサインされ、別の束にうつり、ハンコを押してと消化されていく。

「そっか。じゃあ、Qの話をしよう」
「僕の話ですか?」
「うん。三人兄弟の一番末っ子。10個も上の女と付き合ってどうなの?」
「新鮮ですね。」
「どういう意味かしら?」
「うーん。僕より年上だけど、可愛いところが多すぎるし、大体、可愛すぎてちょっと最近
仕事中は見ないようにしないと顔が収まらなくなってきたし、寝顔の写真とか盗撮が増えすぎて
HD移し替えなきゃいけないし、甘えさせてくれるし。大好きですって事です。大丈夫ですか
顔、というか耳が真っ赤ですけど。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「三人兄弟の中では多分、一番普通の恋愛してるんじゃないでしょうか。」
「・・・・・・そ、そっか。」
「ええ。大好きです。僕の物になってくれてよかった。」
「・・・・・ウィル。」
「!」
「早く仕事終わらせたら、家に呼んであげてもいいよ。」
「・・・・やります!頑張ります!!!」
「頑張れ頑張れ」
「ベッドも一緒ですか?」
「抱き枕ぐらいならしてあげてもいいよ」
「・・・・・その先は・・・」
「盗撮写真を提出するかHDのデータを削除するかしたら、考えてあげる」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
でも、どっちにしたって明日は寝坊か・・仮病で休むことになりそうだなぁ。