の瞳は青色だ。空と海の境界に光る青色。
暗闇の中で見れば、もう少し闇を吸いこんで、僕の鱗の色に近くなる。
僕は、この瞳がずいぶんと気にいっている。

の肌は白い。薄く、柔らかい。
牙を立てると簡単にはじける。
爪で撫でると赤い線が走ったことがあって、彼女はそれについて怒った。
それでも、僕を誘うのはこの肌だから、何度彼女が激怒しようと
僕は首筋にすり寄って歯型をつける。
綺麗についた歯型を舐めると、怒っていた声が、一瞬、詰まる。
僕は、その声を聞くと、自然と口角があがる。

の唇は明るいピンク。
そこから僕へ与えられる幸福は底を尽きない。
頬に、額に、唇に。彼女が落とす体温は一瞬にして僕の思考を停止させる。

の声は凛としている。
イギリス国内、何処にいたって、僕は彼女の声を聞き分けられる。
ときに怒り、ときに笑い、ときに泣く、その声を。
僕の名前を呼ぶ。その声は耳を通って僕の心臓へ。

の体温は、温かい。
人間とドラゴンの混血の僕は体温が上がりにくい。
彼女が触れると、そこから絵具が紙に広がるように広がって行く。

は、まるで悪魔のよう。
瞳で縛り
肌で誘い
唇で引き寄せ
声で支配し
体温で刻む。
僕は、もう彼女のそばから離れることができなくなる。

「しゃ、りっ・・・なに、考えてる、の・・・?」

白いシーツの海に、ブルネットが広がって
僕に細い腕が伸ばされた。
眉間にしわを寄せて、短く息を吐き、しがみついてくる
の瞳には僕がうつり
肌には赤い跡が残り
唇を吸いよせて
僕の名前を呼ばせて
上がり続ける体温をさらに上げさせる。

ああ、なんて愛おしい